Takashige Kusano / 海外営業マン(東京・日本)

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ぼくは小学生のころインラインスケートをしていた。
インラインスケートとは、ホイールが縦に四つついたローラースケートのことで、それが当時ブームになったのだ。

それをリュックに詰め、自転車をこいで友だちと公園に通ったものだ。何回転できるかとか、ジャンプして紙コップを飛べるようになったとか、そんなことをして遊んでいた。

そんなことももう二十年以上昔のことだと考えると、すごく不思議な感覚である。久しぶりにまた始めてみようかな。

 

「草野」とはそのころから一緒に遊んでいたから、これも二十年付き合いになるのだろう。
そしてそのころは、ぼくらが十七年後タイのバンコクで落ち合うなど想像もしていなかった。

バックパッカーをしながらバンコクの安宿に泊まっていたころ、同じタイミングで、草野は海外を飛び回るビジネスマンとしてバンコクの高層ホテルに宿泊していた。

一泊三〇〇円の宿に泊まり、一〇〇円の屋台でご飯を食べ、一・五リットルのペットボトルに、たった九円で飲水をいっぱいにして飲んでいたぼくとはだいぶ違った暮らしをしていたけど、

相変わらず草野は草野だった。

彼は繊細で、気ぃ遣いで、優しい男だ。不器用なところもある。
だからこその努力の人でもある。彼はいつでも何かと戦っている気がする。

そして何かを抱えているが故の、反動のような明るさのようなものを持っている。
なんとなく自己破壊的な部分も兼ねた彼は、かっこよく言えば、二十六、七で自殺した多くのロックミュージシャンのような感じすらある。

 

最近はようやく落ち着いてきたような感じもあるのだが、それにしても

草野はインラインで滑っていたころから、

変わらないでいる。