Rokuko / 航空会社勤務

tumblr_o0ua6x46fx1u01eppo1_1280-2ぼくは数年前バックパックを背負って一人旅に出たのだけれど、実はそれを実行するまで相当な時間がかかった。
理由はいくつかあるが、それまでの暮らしを捨てて放浪するというのは、特にぼくみたいなやつにとってはそんなにイージーなものではなかったのである。簡単に言うと、まあビビってたわけだ。

「三年後日本を出るよ」

ひたすらぼくはそれを周りの人たちに言い続けていた。かっこつけていたのかもしれない。かっこいいなと思う人たちの真似をしたかったのかもしれない。でもぼくはここまでエスカレーターに乗ったみたいにして生きてきて、大学を出てそのまま就職するのが嫌だった。知っている中でやりたい仕事なんてなかった。いつかは実現するんだと思って「海外に出る」と人に言い続けることでその言葉に引っ張られて、もしくは誰かがその言葉の証人になってくれてそれがそのうち現実のものになる気がしていたのだ。

「ねえ、それでいつ海外行くの」

そうぼくに聞き続けてくれたのはロクコだった。

芯が強く繊細で、凛とした美しい人という感じだ。

流行モノは追わず、古き良き日本を愛する。

ロクコは空港で働いている。
ぼくらのほとんどが旅人側の視点しか知らないが、
彼女は旅に出る人たちを送り出す側にいる。
旅人にとっては、彼女の言葉が新鮮に映るはずだ。