#11 柴犬

仕事の昼休み。
飯は何を食おうかと街を歩いていた。

 

 

 

 

横断歩道で立ち止まり、
信号が変わるのを待っていたら三メートルくらい先に散歩中の小さな芝犬がいた。

 

 

 

 

毛はバサバサ。
震える四本の足は、力なくゆっくりと曲がっていく。お腹が地面に付くか付かないかくらいのところで、芝犬はふんばり、元の体制に戻るが、
すぐにまたその足は、震えながらゆっくり曲がって、再びお腹が付きそうになる。

 

 

 

 

ぼくはそれをじっと見ていた。
その芝犬は、この世にまだ在ろうと、
懸命に生きようと、
しているように見えた。そしてその終わりの瞬間が迫ってきているのを明らかに感じていた。
その小さな、吹けば消えてしまいそうな灯火のような命を見ながら、

 

 

 

 

なぜか、
自分はなんてのうのうと生きているのだろうかと思った。

こんなことならもう俺はさっさとくたばった方がいいんじゃないかとすら思った。

しょうもない。
生きようとしてその火を燃やしていたんだあいつは、

 

 

 

 

信号は青に変わって、年老いた飼い主は振り返りもせずリードを引く。
芝犬は力を振り絞るようにして歩き、
ピンと張った紐に引かれていった。

 

 

 

 

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