ESSAY

十年ぶりに地元の友人に会った。

 

僕たちは長い間連絡を取っていなかったのだが、偶然とある同じ本屋を訪れていたことをSNSで知って、

それをきっかけに再会することになった。

 

「偶然」繋がった縁を、SNSのメッセージという、「必然」的につながるツールで手繰り寄せた。

そこでこのエッセイの話をもらって、書くことになった。

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僕は東京で会社員をしている。

年齢は三四。中古マンションを買い、去年生まれた子供と奥さんと暮らしている。

 

高校を卒業してすぐお笑い芸人になるために九州の田舎を出た。

今は諦めて会社員となり、何人かの部下を持つ管理職となった。仕事は楽しい。

 

でもどこかに違和感がある。自分が本当にやりたいことは何だろう。

もっと生きている感覚に浸かりたい。

頭がかたくなっていることに気づく。感性のアンテナが錆びついていく。

やりたいことを見つける為に、僕は旅に出た。

 

旅と言っても、本を読み、会いたい人に会いにいく、日帰りの旅だ。何度かそれを繰り返した。

その中で見つかった夢は実行しないまま、僕は会社員を続けている。

この仕事を続けることで得られる収入。自分の居場所。

 

それを手放せず、夢と名付けた興味のあることは、開始のタイミングを逸した。

その夢とは、本屋になることだった。

初期投資を少なくスタートしたかったので、店舗を持たない本屋。

リヤカーにいくつかのオススメの本を積み、街を歩く。

「偶然」見かけた人が僕を見つける。その人が本に出会う。

その「偶然」から一冊の本に出会えたら、その人の人生に少しだけ偶然性が入り込む。

この「必然」に溢れた世の中で、だ。

 

そんなことを表現できたら楽しそうだな。と、熱い気持ちになった。

が、実現はしなかった。

勇気が無かったのか、そもそも本気じゃ無かったのか。今の職場も大切だからか。家族が出来たからか。

その全てなのだと思うけど、僕は今は会社員を続ける予定だ。会社員をやることで肯定されるものが自分の中にある。

でも、抜け出したくなる時も、ある。

 

ここに、そんな僕が日々感じたことを綴らせていただく。

 

偶然と必然

アナログとデジタル

右脳と左脳

非効率と効率

 

僕はその間を行き来したい。

 

どちらも大切だと思うから。

 

その行き来の中で、見つかるものを書き留めていきたい。

 

林 徳郎