ESSAY

職場から遅い夏期休暇をもらい、家族と旅行に行ってきた。

九日間の長期休暇。

入社して十年経つが、これほどの休暇を取るのは初めてのことだった。

スケジュールはこんな感じ。
沖縄ー四日間
地元の長崎ー四日間。

残りは東京に戻って体を休めた。

沖縄では「雨」の天気予報を裏切って、快晴が続いたので、真夏のような暑さを感じた。

木漏れ日も、緑も、土の道も、赤瓦の古民家も、

辺りの静けさも最高に気持ちがいい。

奮発したホテルのオーシャンビューは眺めが最高だった。レストランで聴いた生演奏、プール、ゴーヤチャンプルー。

長崎へは主に親孝行を目的として滞在した。
両親は、僕らが東京へ戻る前に「ごちそうさま」と言った。孫の顔にも満足したようだ。

久しぶりに親のところに居る感覚は、自分を少しだけ童心に返らせ、恥ずかしいけど少しだけホームシックのような気分を僕に残した。

父親の趣味である海釣りに早朝から出かけた。妻と父と三人で立ち入ってはいけないであろう防波堤から釣りをした。釣った魚の刺身や煮付けも最高に美味しかった。

釣れた時の興奮が忘れられず夫婦で釣りを趣味にする事に決めた。東京に戻ってまず最初に家の近くの釣具屋へ足を運んだ。

あぁ、楽しかったなあ。

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「忙しい」とは、「心を亡くす」と書くが、本当にその通りで、近頃仕事ばかりしていると、自分の心のなかに、「好奇心」のスペースがなくなっているように思っていた。

時間的な話にしても、心のゆとり的な話にしてもそうなのだが、自分の中にはいつもある程度決まった大きさの容れ物があるように思う。

その中に大きな石と小さな石を入れていく。小さな石ばかりを入れていくと本当に入れたい大きな石、つまり、本当に大切なことが入らなくなる。

僕は今回の休暇で、この容れ物を空に近い状態にすることができたように感じる。

この感覚をとても大事にしたい。

今日からまた細かな石と大きな石が僕の容れ物に、物凄い勢いで入ってくるはずだから。

本当はわかっている。
自分には会社や家庭での役割も責任もあるのだから、容れ物を空っぽにしてしまうことは普段はできないのだ。

休暇は休暇なのだから、一旦その役割をどこかに置いて、旅をしているだけ。

だから普段から中身を少なくするか、または別の容れ物を用意して、スイッチを切り替えるように使い分けることができればいいなと思う。
できるかはわからないけど、この感覚と意志が埋もれる前に書き留めておきたいと思ったのだ。

では、

僕はこれから仕事へ。

林徳郎