ESSAY

人は人生において色んな役(役割)を演じている。
その間はその役を本気で演じているし、役割を全うしているのだが、
役を終えると人は冷静な素の自分になる。その時にふと不安になることがある。
自分のやっていることは一体なんなんだ。

この先に何があるのか。と。

きっとこの不安は多くの人が持ち合わせていて、答えはおそらくないものだと思う。

僕の友人に、最近「生きるのがつらい」と漏らす幼なじみがいる。
彼は自分のやりたいことをやる為に脱サラし、アイドルのプロデュースや、高校生ガールズバンドの大会を開催したり、とても楽しそうな生き方をしているのだが、

それにも関わらず、彼は「生きるのがつらい」と言う。結局は、人生「山あり谷あり」の山か谷の部分にいるだけだろう。とはいえ、友人の窮地にこちらの心も穏やかではなくなる。答えのない不安だ。

人生における答えが出ないのであれば、僕はその不安を気楽さで迎え撃つ。

「人生ってコントだからな」と。

僕は、人生とはコントのようなものだと思っている。

コントは人を笑わせるものだ。

人生そのものが、他人を笑わせるとか、自分が笑われるとか、そういうことではないけど、笑ってもらえる方が嬉しいし、コントのように「笑われる」気楽さを持っていることが大事な気がする。

役割を演じているのも、人生がコントだからだ。

上司の役、部下の役、父親の役、夫の役、エッセイストの役(笑)。

時に、その役と役の合間に、僕らを答えのない不安が襲うこともあって、この連鎖はきっとしばらく続いていく。

そんなときには「気楽」に考える力が大切だ。

人生はコントだもんな、

そう思って自分の役を笑って振り返り、また本気で役を全うし始める。

この楽観的迎撃術を、僕は友人にも伝えてあげたい。

周りを見渡してみると本当に色んな役で溢れている。
ああ、あの人はあの役を選んだのか。
面白そうな役だな。
大変そうな役だな。

自分はやれないが、興味がある役だ。

誰しもがコントをやっていると思うと、笑えるし、気持ちが軽やかになる。

そしてそんな人たちで溢れたこの世界は、繊細で美しく、愛らしく思える。

林徳郎

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